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President Blog : Sophia Cradle Incorporated

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2005 年 05 月 29 日 : Core concept -16-

例えば野球の場合であれば、プロのピッチャーはボールが辿り着くキャッチャーのミットの中心を凝視めて投球する。

ビジネスの場合も同じで最終着地点を具体的にイメージしそれに向かって行動すれば、知らず知らずのうちにその方向に向かって近づいている事実に気付くだろう。

ソフィア・クレイドルの携帯電話向けソフトウェア事業の最終着地点は、全世界の携帯電話利用者にネット経由で自社ソフトウェアを自社のサーバーからダイレクトに配信するビジネスを具現化することである。

会社全体としての首尾一貫したビジョンは、ソフィア・クレイドルに所属するスタッフの尊く貴重な才能や能力、熱意によって創作される製品やサービスが、社会に受け入れられることによって永続して発展を遂げることである。

企業、特にベンチャーと呼ばれるような組織では、スタッフが自分たちの組織の方向をよく理解して、現在の自分の行動によってその着地点に向かって進んでいるかどうか反省できるスタイルが望まれる。

(つづく)

2005 年 05 月 27 日 : Design strategy

この忙しさは久々。

人材採用、新人教育、海外取引、コンセプトメイキング……。

とにかく忙しい。特に、人については企業や組織、あらゆるものにとって最も大切な存在であるだけに、すべての精神をその一点に集中せねばならず、少々のことにも体力を消耗してしまう。

いまはそういうフェーズだから仕方がない。逆に言えば、チャンス到来とも謂える。来月中旬には落ち着くだろう。

昨日はデザイナーと"Design Strategy"の方向性を、発案者であるデザイナー、チーフソフトウェアアーキテクト、室長とで確認しあった。

そのキーワードは…

[1] Artistic & Perfect

[2] Simple & Cool

[3] Creative & Original

21世紀は"Design"というものが史上例を見ないほど重要なキーになる時代と予想している。「人の心が豊かになるには?」という問い掛けを発して行動することが何よりも大切になるだろう。理屈や理論だけでは解決できない何かが"Design"にはあると思う。

ソフィア・クレイドルのあらゆるものに一気通貫通して共通する、そんな"Design Concept"が組み込まれることが目標だ。

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2005 年 05 月 25 日 : Designer

製品の完成度が高まると同時に、いよいよ次はデザインやマーケティング、コピーライティングの出番となってくる。

久々に今月はそのためのプロフェッショナルな人材採用のため、多忙を極めていた。弊社へのあまりにたくさんの応募者に驚くと同時に、時間の関係上面談が叶わなかった皆様には大変申し訳ない気持ちで一杯である。

幸いにもプロフェッショナルなデザイナーにジョインしてもらうことができた。取っ掛かりの仕事として、ソフィア・クレイドルの基幹製品の一つでもあるSophiaFrameworkのトップページを飾る画像をデザインしてもらった。(彼はUSの芸術系大学を卒業した後、USのNYを中心に10年間デザイナーやDJとして活躍していたという、異色の経歴を持つ。)

今後、これをより良きものへと進化発展させてゆきたい。

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2005 年 05 月 21 日 : Core concept -15-

人間が動物と比較して一線を画している点は言葉を扱える点にあると謂える。太古の昔、言葉の発明により文明が生まれ、文明によって国家は栄え、人々の生活も豊かになっていった。あまりにも当たり前すぎて、無意識にうちに言葉というものを生活に取り入れている私たちであるが、その威力は偉大である。ブログにしても、謂いたいことをどのような言葉を選択し、どのような文体にするか、その並べ方で読者に与えるインパクトは大きく異なってくる。

言葉、即ち言語というものはコミュニケーションにおける基本中の基本で、コミュニケーションのツールとしては最も大事にすべきものであろう。同じように、ソフトウェアにもそれを記述する言葉、即ちプログラミング言語が存在する。古代の国家が使用する言葉の優劣で繁栄するか否かが決められたように、ソフトウェア業界においても、どのようなプログラミング言語を使ってプログラムを作るかで競争力が大きく異なってくる。

携帯電話向けソフトウェアの世界は、30年くらい前のパソコンがマイコンと呼ばれていた頃の状況に酷似しているように思える。機能性に優れた、品質の良いプログラムを早く簡単に作るためのプログラミング言語が無きに等しい。30年前、マイクロソフトはBasicという簡単にプログラムを作成する言語をマイコンの世界に導入することで飛躍の切っ掛けを掴んだ。

コンピューターの歴史を振り返れば簡単に分かることなのだが、飛躍するソフトウェア開発ベンチャーは、先ずプログラミング言語の周辺の事業からスタートしているのが大半だ。私たちは過去のこのようなトレンドから携帯電話のソフトウェアを容易に迅速に開発するためのプログラミング言語環境に貢献する事業からスタートするのがベストではないかと考えた。

2002年がスタートした頃は、ゲームが中心ではあったがNTTドコモの携帯Javaであるiアプリもようやく脚光を浴び、携帯Javaアプリ開発のマーケットは活況を呈していた。Javaというプログラミング言語に関わるシステム的なインフラ以前に、そういった土台が無くとも早く携帯Javaアプリが欲しいという最終利用者のニーズは極めて高かった。

それ故に、携帯電話向けアプリケーション開発会社は携帯Javaアプリを作れば作るほど儲かるような状況にあった。ソフトウェア技術者をたくさん雇い、たくさんの携帯Javaアプリを作れば作るほど儲かるのような状況が今でも続いている。

そんな事情もあって、直ぐにはお金に結びつかない携帯Javaを圧縮するツールであるとか、いまや全てのKDDIの携帯電話に搭載されているBREWというシステム向けのC++ライブラリを研究開発し製品化し、そして販売までしているソフトウェア開発会社は私たち以外は皆無である。3年以上の時を経て、未だに私たちの競合会社は存在しない。競合が存在しないということは、逆の意味ではマーケティングでは苦戦することを意味するのであるが、そんな逆境にあるからこそマーケティング力も鍛えられるというものである。

何ごとも急がば回れ。かつてパソコンがマイコンと呼ばれていた時代のソフトウェア開発ベンチャーが辿った王道に、私たちはビジネスチャンスを見出していった。

(つづく)

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2005 年 05 月 19 日 : Core concept -14-

昨日、あの幻のピアニストの名の彼がセルビア・モンテネグロから京都にやって来た。18時間のフライトだったそうだ。遠路の旅の疲れを癒すため、実際に初対面するのは明日なのだけども、それが待ち遠しい。

世界中で使用可能の携帯電話向けソフトウェアを創っているせいか、いつしかソフィア・クレイドルでは広く海外から人材を受け入れるようになった。そのいつしかというのは、アイセック同志社大学委員会さんというNPOに所属するNさんが、たまたまソフィア・クレイドルという会社に興味を持って来社されたのが切っ掛けだった。

会社に所属するスタッフ全員が世界の桧舞台で活躍する姿を夢見て創業したので、ホームページも日本語だけでなく、英語のページも頑張って制作した。その甲斐あって、アイセック同志社大学委員会さんが海外の学生さんにソフィア・クレイドルというベンチャーのことを広報してもらうと、全く予想していなかったのだが世界中からたくさんの希望者があって驚いた。

誰も彼もが得がたい優秀な人材だったので、その中で一人を選考するプロセスは難航を極めた。ルーマニアから来日し、いまはネット経由でソフィア・クレイドルに関わってくれているM君はその成果がテレビで放映されるくらい素晴らしい仕事をしてくれた。早ければ秋には再び京都に戻り、ソフィア・クレイドルにジョインしてくれる予定だ。

セルビアからの彼(名前はV君)も、専門はコンピューターサイエンスなのだがネット経由で得意の英語力を活かして、既にある仕事に協力してくれている。

日本と比較すれば、海外にはベンチャーのような環境に敢えて自分の身を置き、鍛えたいと考える人が多いように思う。日本ではそんな人材が得がたい存在になりつつある。ソフィア・クレイドルという会社のビジョンを実現する上で、共に働く人材を日本人だけに限る必然性はなく、世界中から募ることが究極の仕事を成し遂げるための条件に思えるようにもなってきた。

以前の日記でも紹介したように、生物の世界において見出せるハイブリッド・パワーの力は偉大だ。異文化故に摩擦も生じるかもしれない。しかしそれを乗り越えうまく融合することができれば、お互いの優れた点を更に発展的に伸ばすこともできる。実はこれまでに存在しなかった画期的なモノを発明したり、発見する無限の可能性がそこに秘められている。

丁度いまから3年前に、ソフィア・クレイドルの門を叩いてくれた、アイセック同志社大学委員会のNさんには感謝の気持ちで一杯である。

2005 年 05 月 17 日 : Core concept -13-

音楽家、作家、画家などのアーティストと同様、プログラマーの業界にもそれに近い雰囲気のトレンドのような兆しがこの日本においても体感できつつある。そこにある種の真新しいビジネスチャンスが隠されていると信じている。

携帯電話に一昔前のパソコンに搭載されていたような性能を有するCPUが搭載される時代だ。近未来においてその勢いは益々高まり、想像すらできない身の回りの機器にまでCPUが組み込まれてゆく。その時人々の生活が便利に楽しく豊かになるかどうか?それは、さまざまな機器に組み込まれたCPUを直接制御するソフトウェアの機能性とクオリティに掛かっているといっても過言ではない。

生活に身近なありとあらゆるモノにCPUが組み込まれ、ソフトウェアがプログラミングされオートマティックにインストールされる。そしてそのソフトウェアは、名も知れぬ人々に無意識のうちに利用されゆく。これは掛け替えの無い生活というものに密接に絡んでくる問題だ。それだけに、人の感性にシンクロするようなものだけが長く生き残り使われる世界へと移り変わってゆくのだろう。音楽や絵画と同様に、ソフトウェアも人にとって心地よい旋律や色調を醸し出す空間を構成するのものが選ばれる時代がやって来るだろう。

その意味において大切に心掛けねばならないのは人の感性を第一にして他と一線を画するものをどうやって創造するかということ。インターネットが世界中の隅々まで張り巡らされたいま、真に優れたソフトウェアは、光速のスピードでさまざまな情報機器にネット配信することができる。一つのソフトウェアが何十億台もの情報端末に瞬く間にネット配信されることも充分に有り得る。新しい現実が目前に迫っている。

そんな時代になってくると、たった一つだけの存在に過ぎないとしても、人々にとって何らかの理由で真に価値があり役立つものであれば、一瞬にして局面が良い方向に切り替わる、過去に人々が経験し得なかった世界になるだろう。ある意味では心躍るフェーズの連続かもしれない。

国内の音楽業界で最も売れている一人の、或いは一組のアーティストの年間売り上げが100億円程度だったりする。将来的にはソフトウェアの世界もこんな感じで、他よりも群を抜いて秀でたものを創作し、ネットで配信することができれば一人のプログラマーがそれに近い世界を創れるようになる。海外のマーケットに進出できれば、そのビジネスポテンシャルは想像できないほど膨大なものとなろう。

だからこのビジネスで成功するための必要不可欠な秘訣は、数多くの作品よりもたった一つでもいいから、世界の人々に最高傑作と自ら誇れる作品を生み出すことであり、具体的にはそれを現実とするノウハウを獲得することであろうと考えている。

(つづく)

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2005 年 05 月 14 日 : 携帯Javaの世界的な伸び

携帯 Java のプラットフォームで世界 No. 1 の実績を誇る JBlend 搭載携帯電話の累積出荷台数が 1 億台を突破したらしい。アプリックスさんのプレスリリース:[2005.05.13]「JBlend 搭載製品の累計出荷台数が 1 億台突破」を見て注目すべきなのは世界マーケットの広がりであろう。昨年から猛烈な勢いで伸びていることが分かる。

ソフィア・クレイドルにも昨年末から、北米、欧州、アジアなど海外からの携帯Java圧縮ツールSophiaCompress(Java)への問い合わせが急増しているのだが、その傾きがアプリックスさんのプレスリリースにあるグラフ<JBlend 搭載製品累計出荷台数の軌跡>の曲線のトレンドと正しく一致している。いまはその大半は日本マーケットである。しかし 3 〜 5 年後には 9 割以上が海外マーケットになるはずだ。それ故に、いまからそれに備えた段取りが大切になってくる。

これからの数年で急激に伸びるであろう、携帯Javaの世界マーケットにどのようにペネトレートすべきか?そのための戦略や戦術を練るのは、無限の可能性を探るという意味でベンチャー起業家としての醍醐味である。

何はともあれ、海外対応したソフィア・クレイドル製品SophiaCompress(Java)を出荷できるのは嬉しい出来事なのだ。

2005 年 05 月 13 日 : 海外向け製品を出荷開始!

少し遅れましたが、本日、携帯Javaアプリを圧縮する弊社ソフトSophiaComoress(Java)の海外対応版を発表しました。今月から海外取引を開始します。発表前から、既に数百件の評価版申し込みが海外から入っています。これからが楽しみです。

⇒ プレスリリース(下記の文面よりもこちらの方が見やすいです。)


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《ソフィア・クレイドル、海外向け携帯 Java アプリ圧縮ソフト出荷開始》

〜海外携帯Java 仕様に対応、英語版も出荷開始〜

[概要]

携帯電話向けソフト開発の株式会社ソフィア・クレイドル(本社:京都市、代表取締役社長:杉山和徳、以下 ソフィア・クレイドル)は、2005年5月13日より、海外向け携帯Javaアプリを圧縮するソフトである、「SophiaCompress(Java) バージョン3.1」【※1】を出荷開始します。北米、南米、ヨーロッパ、アジアなど全世界で利用可能な英語版も同時に出荷を開始します。


[詳細]

これまで国内市場において携帯Javaアプリ圧縮ソフト「SophiaCompress(Java)」は多数のゲームメーカー、コンテンツプロバイダー、システムインテグレーターを中心に採用され実績があります。

近年、Javaが搭載された携帯電話は日本のみならず、北米、南米、ヨーロッパ、アジアなど世界中でその普及が進展しています。それと同時に、海外市場において携帯Javaアプリの圧縮ニーズが急激に高まっています。

この度、ソフィア・クレイドルはノキア、サムスン、モトローラなどの海外メーカー製のJava搭載携帯電話にも対応した、Javaアプリ圧縮ツール「SophiaCompress(Java) バージョン3.1」を、2005年5月13日より出荷開始します。

同時に、英語版の「SophiaCompress(Java)」も提供し、海外の携帯Javaアプリ開発会社への輸出を開始します。

本製品の価格は1ライセンス30万円。今後1年間で日本と海外を合計して1000ライセンス販売する計画です。

なお、下記のソフィア・クレイドル社サイトの URL にて、2005年5月13日より、本製品の無償評価版の申し込み受け付けを開始します。

「SophiaCompress(Java)」無償評価版申し込みURL:
/cgi-bin/trial.cgi?compress

本プレスリリースURL:
/news/press/20050513.html

以上

■ 主な新機能

●海外のJava搭載携帯電話に対応
●英語対応
●J2ME/MIDP2.0に対応
●JDK1.4でコンパイルされたJavaアプリが圧縮可能
●クラス融合レベルのカスタム設定機能
●クラス名短縮機能
●圧縮後のメインクラス名の変更機能


■ 用語の説明

【※1】SophiaCompress(Java)

ソフィア・クレイドル社が2002年7月に発表した、国内全てのキャリアの携帯電話向けJavaの仕様に対応した、世界初の携帯電話専用のJavaアプリ圧縮技術。コンパイル後のJAR形式のJavaアプリをそのまま圧縮し、実行できる世界初の携帯Javaアプリ専用の圧縮ツール。大手コンテンツプロバイダや大手ゲームメーカー、大手システムインテグレータなどを中心に多数の導入実績があり、事実上の業界標準Javaアプリ圧縮ツールとなっている。

●詳細情報URL:/products/compress/index.html

■ 会社の説明

株式会社ソフィア・クレイドル
代表者: 代表取締役社長 杉山和徳
設立日: 2002 年 2 月 22 日
所在地: 京都市左京区田中関田町 2 番地 7
資本金: 2645 万円
従業員数: 16 名
事業内容: モバイルインターネットに関する:
1.ソフトウェア基礎技術の研究開発
2.ソフトウェア製品の製造及び販売
3.システム企画及びインテグレーション
ホームページ: /

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2005 年 05 月 12 日 : First finale

2005年5月からソフィア・クレイドル製品の海外輸出を開始する。長らく海外のお客さまから待ち望まれたことがようやく実現できる。同時に海外の有力ITベンチャーとの共同プロジェクトもスタートする。

単純に携帯電話の普及台数から類推すれば、日本を「」とすれば海外のマーケットポテンシャルは「15」くらいである。日本における携帯電話のマーケットは飽和状態だが、海外の方はいまも勢い良く延び続けている。将来的に「15」というこの数字は「20」にも「30」にもなることだろう。

ソフィア・クレイドルのビジネスモデルは国内マーケットからの売上だけでも充分に利益が見込めるように組み立てられている。しかも粗利益率はほぼ100%だから海外マーケットでの売上はそのまま利益になる。自然に儲かる仕組みが実現できるわけである。

利益はスタッフと会社、そして社会の未来への発展に向けた源泉である。そのために、ソフィア・クレイドルを史上類を見ないような高収益企業にしたいと思っている。

それは海外でのビジネスにかかっていると謂っても過言ではない。そのために、Webとマーケティングに関してプロフェッショナルな人材を採用する活動を久々に展開している。

これまでは製品開発で手一杯だったが、これからは海外マーケットも含めたWebマーケティングを戦略的に強化するつもりだ。

これによって、「世界中のあらゆる携帯端末にクールなソフトウェアをネット配信する」というソフィア・クレイドルのビジョン実現に向けた、第一フェーズが完結する。

2005 年 05 月 11 日 : Core concept -12-

米国マイクロソフト社沿革を見ればいくつかの事実が発見できる。一つは1975年から1979年までマイクロソフトの本社がニューメキシコ州アルバカーキにあったこと。もう一つ、現在の本社はシリコンバレーではなく、ワシントン州シアトル郊外の、環境の良いレドモントにあるということ。

私を含め、土地勘の無い大抵の日本人だとピンとこないかもしれない。ニューメキシコ州アルバカーキという街は砂漠のど真ん中にあるらしい。創業の頃、ビル・ゲイツが在籍していたハーバード大学の所在地、マサチューセッツ州ケンブリッジからも、故郷であるワシントン州シアトルからも何千キロも離れている。何故そんなところに本社を構えざるを得なかったのか?そしていま何故ワシントン州レドモントにその本拠地があるのか?私はその点に興味を持ってマイクロソフトの沿革を眺めた。

マイクロソフトの原点である、BASICインタプリッタのプラットフォームはMITS社のアルテア8800であった。そのMITS社の本社がニューメキシコ州アルバカーキにあった。それが、創業以来4年間にわたってマイクロソフトの本社がそこにある所以らしい。常識で考えれば、誰しも好き好んでそんな場所に本社を置かないと思う。ビジネス上の都合からそうしていたわけだろう。そういうことから察すれば、1975年から1979年の4年間、いまを時めくマイクロソフトも今は亡きMITS社のソフトウェア開発子会社的な位置付けに過ぎなかった。決して華々しくデビューしたわけではなかった。

では何故マイクロソフト社はMITS社と運命を共にすることなく、IT業界の巨人として飛び立ってゆくことができたのであろうか?

その根本的な原因はソフトウェアライセンスビジネスという構想をいち早く具体化し実践していた点にあると考えられる。マイクロソフトはアルテア8800用BASICインタプリッタの知的所有権をMITS社に売り渡さずに使用許諾を与えるという契約を締結した。そのソフトウェアを売り払ってしまえばまとまったお金も入る。近視眼的な人間であれば迷わずそうするところであっただろう。しかし、ビル・ゲイツは敢えてその選択をしなかった。

そんな意思決定ができるか否かがマイクロソフトとMITSの明暗を分けたのかもしれない。

私たちのようなソフトウェア開発会社の場合、お客さまの依頼に応じてソフトウェアを開発し、それを納入することでまとまったお金を一気に確実に得るという手段を採ることもできる。そうすれば短期的には売上を大きく伸ばし、社員数を増やすことも簡単にできる。しかし、お客さまに収めたソフトウェア資産はお客さまに所有権があり、自分たちにはそれがない。だから、過去の資産をストックし、それを積み上げるようにしてマイクロソフトのように飛躍できない。

ソフトウェアのライセンスビジネスで特徴的なのは最初の一本目のソフトウェアを開発し販売するまでには膨大な人と時間が必要とされる。けれども、2本目以降については一瞬のうちのそのコピーが創れてしまう。インターネットが発達した今日であれば、ネット経由で世界中にそのソフトウェアのコピーを無制限に何本でも光速のスピードで瞬間的に販売できる。

客観的に見れば、売れるのか売れないのか分からない。そして形すら見えないソフトウェア製品の研究開発に自己資金でもある資本金の大半を投入するのには勇気のいることではないだろうか。しかし勝算が見込めるのならば、そして自分のやりたいことが実現できるのであれば、それにチャレンジする見返りは充分にある。

マイクロソフト社の例を見れば分かるように、ソフトウェアライセンスビジネスの立ち上がりは極めて緩やかだ。しかし、その分時間軸の幅も広く、それが世界中で利用されるものであれば、その高さも天にも届く勢いを保つことだろう。マイクロソフトはその潮流に乗ることができた。そしていまはシリコンバレーとは一定の距離を保つようにワシントン州レドモントに本拠地としている。

確かにシリコンバレーには優秀な技術者が集まり、有望なIT企業も多いかもしれない。しかし集積も限度を超えると弊害も及んでくる。一つは従業員の定着であり、もう一つは住居などの生活環境である。栄枯盛衰の激しいIT業界では、いろんな有望なベンチャーが突然登場し、そしていつの間にか消え去る。シリコンバレーではそんな景色が至るところで見ることができるという。それ故に優秀な技術者の企業への定着率も悪く、生活の物価も他の地域と比べ極端に高い。昨日の日経新聞(2005年5月10日朝刊)に掲載されていた記事からだが、「ムーアの法則」で著名なゴートン・ムーアによれば、有能な技術者のシリコンバレー離れは既に始まっているという。

マイクロソフトの事例からは以上のような背景を学び、ソフィア・クレイドルはソフトウエア製品開発型ベンチャーとし、本拠地は首都圏から離れた京都という地において創業することにした。過去のソフトウェア資産をストックしそれを梃子にして飛躍するアプローチ。それから、ITベンチャーの少ない京都という地だからこそ逆に、輝かしき未来ある前途有望な人材がソフィア・クレイドルという「」に集積すると考えた。

(つづく)

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