ホーム > President Blog : Sophia Cradle Incorporated

President Blog : Sophia Cradle Incorporated

President Blog

2005 年 10 月 23 日 : 伝えたいこと

今、NANA という映画の劇場挿入歌 ENDLESS STORY がヒットしている。歌詞の中にこんな言葉があった。

  たとえば
  誰かのためじゃなく
  あなたのために
  歌いたい この歌を
  終わらない story
  続く この輝きに
  Always 伝えたい
  ずっと永遠に

この曲を何度も聴きながら、キーフレーズは"あなたのために"ではないか。多くの人びとはこのフレーズにシンクロしてこの曲を聴いているのではないだろうか。そう思った。

商売をしていて常々思うのは簡単なことみたいだけれど、真に"あなたのために"という思いで、かたちある仕事をするのは難しい、ということである。だからこそ私たちは潜在的にそんな雰囲気に憧れを抱く感じがする。

お客様がその製品やサービスを利用するシーンを具体的にリアルにイメージすることができるか。シンプルに商売が成功するかどうかはその一点に委ねられていると感じる。

2005 年 10 月 21 日 : 成長の実感

2005 年 10 月から第 5 期がスタートした。今日は決算の書類整理のためにお客様からの注文書をバインダーに閉じていた。第 4 期の注文書は 8 センチバインダー 1 冊にまとめることができた。感慨深かったのは同じ厚さのバインダーがもうひとつあったことだ。それには第 1 期から第 3 期までの 3 期分の注文書がまとめてあった。

注文書を閉じるバインダーの厚さで会社の成長を実感できるフェーズにようやく突入した。創業の頃、販売する製品すら無かったり悪戦苦闘しながらベンチャー的な香り漂う製品を販売していた日々とは隔世の感がある。

今のペースからすれば第 5 期の注文は海外からの受注も見込めるので大幅に増加する見通しだ。しかしスタッフ増員の計画はいまのところない。これまでの 4 年間で、売上が増加してもスタッフの人数を増やすことなく回るビジネスモデルを意識的に創ってきた。数年間はこのペースで伸びても数名のスタッフを増員するだけでいいスケーラブルなシステムになっている。

どうしても欲しい人材がいれば若干名採用する程度の人員計画はある。創業以来、スタッフの数は 16 名程度を維持して経営してきた。人数は一定でも売上と利益は着実に伸びている。その分、スタッフの待遇やオフィス環境は改善されてきている。

売上と利益の伸びとスタッフの数をどうバランスをとるかが重要だと思う。理想とする人材にはなかなか巡り合えないだけに、在籍するスタッフにどうやって報いるかというのが先決であると考える。

例えば、仕入れがゼロの会社でスタッフは増えないのに売上が 3 倍になるというのは 1 人当たりの付加価値が 3 倍に高まることを意味する。それはスタッフが以前と比べて 3 人分の仕事をすることに等しい。

ベンチャーで働くメリットは 2 点に集約される。自ら好んで打ち込める仕事を成し遂げれること。それから、その成果に応じて上限のない収入を得られること。第 5 期以降はこれまでの先行投資を回収するフェーズなのでベンチャーの 2 番目のメリットをスタッフが享受できるようにしたいと願っている。

2005 年 10 月 21 日 : BREW SDK 2.1エミュレータ用カメラ機能ツールを無償配布

[PRESS RELEASE]

ソフィア・クレイドル、BREW SDK 2.1エミュレータ用カメラ機能ツールを無償配布

〜 エミュレータ対応によりデバッグ作業時間を半減 〜

[概要]

携帯電話向けソフト開発の株式会社ソフィア・クレイドル(本社:京都市、代表取締役社長:杉山和徳、以下 ソフィア・クレイドル)は、BREWSDK 2.1エミュレータに、カメラ機能を追加するツール『 Camulator (カミュレーター)』の無償配布します。受付は、2005年10月21日から2005年11月30日まで、同社サイトにて行います。入手には、同社新製品SophiaFramework Ver. 3.0 β1 無償トライアルに申し込み、アンケートに回答する必要があります。


[詳細]

カメラ搭載携帯電話の増加に伴い、BREW【※1】においても Ver. 2.1 よりカメラ機能をサポートするようになりました。しかし、BREW SDK 2.1ではエミュレータ【※2】上でカメラ機能がサポートされておらず、デバッガ【※3】などの開発支援ツールが使用できないという問題がありました。

その問題を解決するために開発されたのが『 Camulator 』です。『 Camulator 』は BREW SDK 2.1エミュレータにカメラ機能を追加し、携帯電話を使わずパソコン上でのデバッグ作業を可能にした世界唯一のツールです。

SophiaFramework【※4】との併用により、カメラ機能のメモリ追跡も可能になります。その結果、プログラミング、テスト、デバックの一連の作業サイクル回数が大幅に削減されます。

実機デバッグで35時間必要だったテスト時間が、『 Camulator 』を使用することにより20時間へ削減された例を確認しています。

本ツールのダウンロードにはSophiaFramework Ver. 3.0 β1 無償トライアルに申し込み、アンケートに回答する必要があります。

本プレスリリースURL : リンク
SophiaFramework無償トライアル受付URL : リンク

対象BREW 2.1端末:26機種
(PENCK・W31S・W31K・W31SA・W22SA・W22H・W21CA/CA II・W21T・W21SA・W21S・W21K・Sweets・talby・A5511T・A5509T・A5507SA・A5506T・A5505SA・A5504T・A5503SA・A5502K・A5501T・A1404S・A1403K・A1402S II・A1402S)

対象端末数: 約1300万台 (1機種50万台としてソフィア・クレイドルが算出) 

以上


■用語解説

【※1】BREW
読み方:「ブリュー」または「ブルー」
2001年1月に米国クアルコム社が発表した携帯電話向けソフトウェアの規格。「ブリュー」もしくは「ブルー」と読む。異なる携帯電話機のOSの仕様差を吸収し、単一のコンパイル後のプログラムをインターネットからダウンロードし、さまざまな携帯電話機でそのまま高速に動作できるように設計されている。日本ではKDDIが2003年2月よりBREWサービスを提供開始。NTT ドコモの一部の機種でBREWが採用されている。2005年10月現在、世界で29ヶ国56 の通信キャリアが採用しており、世界的な規模でその普及が急速に進んでいる。

【※2】エミュレータ
システム上で、異なるシステムを動作させるプログラムのこと。エミュレータを使えば、Windows上で携帯電話の機能を再現し、携帯電話向けに開発されたアプリケーションを動作させるようなことができる。

【※3】デバッガ
プログラムの不具合(バグ)の発見や修正を支援するソフトウェアのこと。プログラムが意図しない動作をしたり、停止した場合、プログラム中のどこに不具合があるのか調べる必要がある。デバッガはプログラムの状態を調べ、不具合の発見を支援してくれる。

【※4】SophiaFramework
読み方:ソフィア・フレームワーク
ソフィア・クレイドルが2002年8月に発表した、BREWアプリをC++プログラミングで開発することを世界で初めて実現した唯一のBREW向けC++オブジェクト指向開発環境。ユーザーインターフェース、通信、グラフィック描画、文字列処理など、ビジネス、コンテンツ、ゲームなどジャンルを問わず、あらゆるBREWアプリを開発するのに必要十分な“クラス”と呼ばれるプログラムモジュール群がラインナップされている。すでにKDDI公式EZアプリ(BREW)やビジネス系BREWアプリで多数の導入実績がある。
詳細情報URL: リンク


■ 会社の説明
株式会社ソフィア・クレイドル
代表者: 代表取締役社長 杉山和徳
設立日: 2002 年 2 月 22 日
所在地: 京都市左京区田中関田町 2 番地 7
資本金: 2645 万円
事業内容: モバイルインターネットに関する:
1.ソフトウェア基礎技術の研究開発
2.ソフトウェア製品の製造及び販売
3.システム企画及びインテグレーション
ホームページ: リンク

2005 年 10 月 20 日 : 掛け算のビジネス

"100" という数字を "100" 回繰り返し足しても、"100" という数字に "100" という数字を掛けても、その結果は等しく "10000" である。ビジネスの場合も、結果としての売上とか利益の数字があってそこに至る道筋には様々な出来事がある。

会社を経営していると予期するしないに関わらずいろんな岐路に立たされる。その選択の仕方には個々の人ごとに経営者としての思いが込められている。たったひとつのある分岐点がその企業の行く末に決定的なインパクトを及ぼすこともある。

起業するときの最初の分岐点は、足し算もしくは掛け算か、どちらのスタイルを選択するかという決断だったと思う。足し算のビジネスというのは一件一件個別に異なる案件をこなしてゆくスタイルであり、掛け算のビジネスというのは一つの案件を複数に横展開してゆくスタイルである。

単純に考えると明らかに掛け算のビジネスの方が儲かる。だが、それは横展開できた場合の仮の話である。先ずは、一件一件着実に仕事をこなす足し算のビジネスの方がその先に待つ未来ははっきりと見える。

"100" という数字を "100" 個並べて書くのは手間がかかるが、同じ結果をもたらす "100" × "100" という式は一行で簡単に書けてしまう。この 100 個の "100" という数字が 1000 個、10000個、・・・ という風に桁違いに増えていったらどうなるの、という問いに対する解答こそが本質といえるかもしれない。

掛け算のビジネスであれば、それが1億の数になったとしても単純に
   100 × 100000000
と書くだけである。この"×"という記号には、スケーラビリティのあるシステム的な性質がある。直ぐにその解が分からないだけに、いろんな意味でチャレンジャブルだ。

足し算と掛け算、どちらにしても一長一短がある。最終的に選んだ道は掛け算のビジネスだった。簡単に先は読めないけれど、読みきれた瞬間に明るい未来への展望が拓けてくる。そんな期待感を抱いて、未知の世界をじっと見つめる日々が幾日も続いた。今も進行中だが、視界は次第に開け良好になっている。

Windows のように、複数の任意の人びとが全く同じものを何度も繰り返し使うことになる必然性とは一体全体何なのか?掛け算型ビジネスの起業が成功するかどうかはこの問い掛けの答えを見出すことに掛かっているように思う。

2005 年 10 月 19 日 : コンセプト

ソフィア・クレイドルで創っている製品やサービスのイメージを分かりやすく表現するのに苦心する。パズルとしてそれが解けたときに爽快感を味わう生活を送っている。

2005年11月から世界マーケットを対象にして"SophiaFramework"という製品の販売を本格的に開始する予定である。その時、インビジブルなソフトウェアはどう表現すればよいか。製品が売れるかどうか。それはコピーライティングのメッセージに左右される。

"SophiaFramework"は携帯電話向けソフトを開発するための一種の言葉と見なすことができる。携帯電話を言葉を理解する機械であると想定しよう。ソフトとは携帯電話という機械に思いの動作をさせるために言葉で表現した文章と見なせる。

仮に携帯電話が英語と日本語の 2 種類の言葉が分かるとして携帯電話に話かけてみる。この BLOG を読んでいる生まれも育ちも日本の方ならば、日本語を選択して話しかけるだろう。何故なら、意識することなく直感的に自由自在に日本語を扱えるからである。

それではなぜ私たちは日本語を無意識に思うまま自由に操れるのだろうか。答えは簡単だ。日本で生まれるとすると、ずっと日本語を読んだり聞いたり話したりしているからである。いくつものイメージや概念が知らず知らずのうちに言葉と一体になってパターン化し心のなかにインプットされているのだろう。生活シーンで英語はそんな風に接していないので、直感的に言葉がポンポンと浮かぶようなことは少ない。

日本人が日本語を、英国人が英語を直感的に扱う雰囲気。携帯電話向けソフトの業界でそんな空間のようなものを創造した。それが"SophiaFramework"のコンセプトである。携帯電話向けソフトを開発するためには、最初に携帯電話特有の制約に纏わる数々のテクニックを熟知してその壁を乗り越える必要がある。

PC でソフトを開発していた時と同じような感覚でプログラミングできるならば、すんなり携帯電話向けソフトの開発もできる。他に手掛けているものは世界に誰もいない。それが最大のビジネスチャンスだった。

現在、"SophiaFramework"が前提とするプラットフォームは携帯電話。未来は iPOD でも PDA でも PSP でも、そして PC やサーバーですらかまわない。多種多様ないろんなプラットフォーム向けのソフトを同じ言葉で同じ感覚で直感的にプログラミングできるようにすること。それがこの製品の着地点のイメージでありビジョンだ。

2005 年 10 月 19 日 : 世界戦略

マイクロソフト製品で普段よく使うのはWindows、Internet Explorer、OutLook、Word、Excelというたった 5 種類のソフトでしかない。にも関わらず、マイクロソフトは世界最大のソフト企業である。その理由は世界中の人びとがその限られたソフトをいつも使っているからである。

ソフィア・クレイドルは少数のスタッフから構成される組織である。研究開発できる製品の種類や数も限られる。ソフト企業が成長するための基本は、たとえ種類は少なくとも自社のソフトをネット経由で世界中に流通させることであるという仮説を立てた。国内だけでもソフトを販売するのは大変だ。だから世界に販売しようとするのならば逆に製品の種類を絞るというのが正解ではないかと考えた。

そんな背景もあって、ソフィア・クレイドルでは創業した頃から英語版の Web サイトを用意し世界に向けて情報発信している。そして海外から注文が来てもネット経由で製品をオートマティックに瞬時に出荷できる体制を整えつつある。ネットがあるからこそ成立するビジネスモデルである。少数でやろうとすれば必然的に製品の種類を絞らざるを得ない。結果的に最善を尽くしたビジネスが展開できるというシナリオなのである。

あまり外出しないかわりに研究や勉強も兼ねてベンチャーのサイトをヴァーチャルに訪問する機会は多い。Web サーフィンしながら思うのは英語版の Web サイトを提供しているベンチャーの少なさだろう。感覚的な数値ではあるが、1 〜 2 %くらいの確率でしか存在していないのではないだろうか。

客観的には国内、そして海外という戦略が常道かもしれない。けれども、そんな事情があるからこそ、最初から海外マーケットをも視野に入れて事業を展開するというアプローチもあり得ると思う。ある意味ではニッチ中のニッチな、正統派ベンチャー戦略ともいえるかもしれない。

現状のネットビジネスでは、想定するキーワードにて Google, Yahoo!, MSNなどに自社サイトが上位にランキングされることが生命線ともいえよう。ローマは一日にしてならずともいう。同じように海外の検索エンジンにて自社サイトが上位にランキングされるにはそれなりに時間がかかる。

直ぐに結論がでるものでないかもしれない。それ故に、経営資源が限られるベンチャーにとっては目先の現金に結びつかない海外 Web サイトは敬遠がちになるのだろう。でも海外マーケットを視野に入れるのならば、最初から、数年後全世界に製品をネット経由で全自動販売しているイメージと、そこに至る道筋を鮮明に思い描いてビジネスをすること。逆説的ではあるけれども、それがゴールへの近道であると信じた。

2005 年 10 月 19 日 : S( n+1 ) > S( n )

仮に時刻 x における企業の総合的な指標があるとして、それを S( x ) としよう。企業が永続するには究極的に全ての n に対して 
     S( n+1 ) > S( n )   n = 0, 1, 2, 3, 4, 5, ・・・
が成立するように心がけて経営すれば良い。

関数 y = S( x ) がどこまでも単調増加の軌跡を描くことを目標にしている。勝負に出ることである時刻 t から時刻 t + 1 に移り変わる瞬間に S の値をジャンプさせることも狙えると思う。その見極めこそが経営者のセンスともいえる。

肝心なのはその勝負の内容ではないだろうか。自然の流れに逆らって力まかせのスタイルで成果をあげる道もあればその逆もあるだろう。老子や荘子の思想を学んでいるせいかもしれないが、どちらかと言えば自然に任せてうまく回る経営を理想としている。

大切なのは、どうすれば時代の潮流に自然に乗れるかということだろう。大きなジャンプを捉えるには断層のようなものを正確にきちんと読み取れるかどうかが重要である。それさえ間違えなければ企業の経営というものは安泰である。それこそが経営者に課せられた最大の使命かもしれない。

それはインビジブルな世界であり難航を極める。しかし感性を研ぎ澄ませることで道は拓けると信じている。

2005 年 10 月 18 日 : 営業戦略

トップセールスと称されるスーパーマンもいるが、一般に営業ほど生産性が低く不安定な企業活動もないのでは、と常々思っていた。ベンチャーは社長が先頭に立って精力的に営業活動を展開すべしと指南するコンサルタントも多い。

実際、世の中の傾向としてよく見受けられるのが、社長自ら現場に出向き営業活動を推進する姿である。さすがに創業初年度は経常黒字を死守するためにそんな風に営業する日もあった。

次第に分かってきたのは、社長が営業活動する限り社長の営業力以上に売上が伸びるのは難しいという仮説であった。普通のレベルで営業をこなせるとは思う。しかしそれ以上に自分が目指したい仕事が他にあった。時代の先を読み、それに基づいてシステムを構想し計画し実現するというような類の仕事である。

たとえ私がいなくとも何十年にも渡ってオートマティックに通用するビジネスモデルを構想しシステムとして実現すること。長期的な視点に立てば、目先の現金を追いかけるよりも、このアプローチが先決であると考えた。

創業3年目からは営業部を解散し、社としての営業活動はゼロとなった。その分、スタッフが持っているノウハウをできる限り Web のシステムとしてプログラミングした。現在も進行中ではあるが、ありとあらゆる創意工夫を凝らした結果、営業活動をしなくとも Web 経由で世界中から問い合わせや注文が自動的に入ってくるようになった。

インターネットというチャネルを通じて、これなくして築けなかったお客様との関係が時と共に深まり増えている事実に不思議さを感じる。営業解散という宣言をしなければ、今とは違う展開になっていたことは想像に難くない。

ベンチャーにも関わらず、営業活動をしないというコミットメントには一種の勇気が伴うものである。けれどもそういった決断から新たなる活路が拓かれるのも事実であり、ベンチャー的な行動として評価できると思う。

営業をしなくても十分に回るシステムを創った。ソフィア・クレイドルの企業活動の生産性は高いほうではないだろうか。完全週休二日制であるし、休日に出勤する者、徹夜して働く者は誰もいない。それに乗じて、受注、出荷、サポート業務のコンピューターによる自動化もいま進めている。

全自動洗濯機みたいにコンピューターとインターネットを用意するだけで、商品が自然に売れる仕組みを考案し、システムとしてインプリメントしようと心掛けた。簡単な仕事ではない。けれども、そういったことができるんだという思いから何ごとも始まる。

営業のために外に出向く必要がないということは、それだけ余分に物理的な時間と精神的な余裕があるということを意味する。時間は地球上の誰にも平等に与えれる資源である。時間という限られた経営資源をどうやって有効活用できるかで運命が決定付けられるとも思える。

2005 年 10 月 17 日 : 興亡

最近、旺盛な資金調達力を背景にした M & A が活発である。買収される側が東証一部上場の大企業の場合マスコミはその話題で活況を呈する。

世界でも有数といわれる大企業に所属し、弱小の零細ベンチャーからスタートした身の上なので言えそうなことがある。

ベンチャー起業家の中には大企業の経営者であったとしてもおかしくない人物も多い。もし大企業の経営者も務まるベンチャー起業家が存在するとすれば、という仮定法を考えてみる。その人物は大企業しか経験しえぬ経営者よりも能力面や実務面で桁違いのパフォーマンスを披露することだろう。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏などはその典型的な例ではないだろうか。

実績や知名度がゼロのベンチャーを立ち上げるのは、温室みたいな大組織で過ごすのとでは格段の差がある。多くのベンチャー起業家は全財産を事業に費やし命がけで経営を実践している。自然淘汰の厳しい環境に自らを置くことによって洗練された経営力というものが自ずと磨かれてゆくからだ。

大企業のトップたるものは優秀であって当然である。さらに、その人物がベンチャーという厳しい環境で鍛えられたならばと想像してみるとこれからの産業界の激動の動きが読めてくるかもしれない。

設立間もないベンチャーが既存の大企業の基盤を揺るがす勢いにあるのは、経験は浅いかもしれないが大企業では決して経験しえないような数々の修羅場を潜り抜けてきた結果としての経営力にあるような気がする。

これから潜在的に有能な人材がベンチャー企業を起こし自らの経営力を伸ばす傾向が加速し、ベンチャーが経営力という観点で大企業を遥かに凌駕する例が顕著になるだろう。

そうなれば経営力のあるベンチャーの中には、経営力は乏しいが資産価値ある大企業を飲み込もうとするものも出て来るだろう。それが自然の流れになろうというのが個人的な見解である。

2005 年 10 月 17 日 : シンクロニシティ

遠くの見知らぬ人が自分と同じように感じたり考えたりすること、シンクロニシティ(シンクロ)は珍しい現象ではない。音楽の世界では人びとの心の間でその曲を聴きたい気持ちがどれくらいシンクロするかで、それがヒットするかどうかが決まるという。(※ 「プロデューサーは次を作る」 小室哲哉 著 )

新しいマーケットを自ら創造する強力なパワーを持ち得ないとすれば、人びとの潜在意識に宿る心や気分の一端を探り当てることができたら良い。そんな気持ちを潜在的に持っていた人口に比例して、それは大きなマーケットに育ってゆくのではないだろうか。

今までは BLOG のように個人で気軽に情報発信するツールは少なかった。最近は Google に自分の考えや気分を表現するキーワードを打ち込んで検索して、世の中に自分とシンクロする人たちがどれくらい存在するのか知ることができる。また潜在的に同じように考えていたり感じたりしていた、見知らぬ人びとにメッセージを伝えてそれを顕在化させることもできる。

商品やサービスというのは、人びとの心のなかにある何かが動くから売れるのだろうという仮説を持っている。逆に言えば、最初から心のなかにないものは売れないという発想である。時代に伴い人びとの心も揺れ動くので心の変化は微妙ではあるけれど、基本は同じと感じている。でもまだその答は探索中である。

商売を創める時に注意しなければならないのは、その商品やサービスは潜在的に人びとの心に宿るものであるかどうかということ。それから、人びとの心とシンクロして共に大きなマーケットに育ててゆくことのように思える。

<前のページ | 次のページ>

 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24  |  25  |  26  |  27  |  28  |  29  |  30  |  31  |  32  |  33  |  34  |  35  |  36  |  37  |  38  |  39  |  40  |  41  |  42