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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : 2005年08月

2005 年 08 月 23 日 : Concentration

http://www.google.co.jp/ と http://www.yahoo.co.jp/

グーグルとヤフーの URL である。ホームページだけであればヤフーがグーグルを遥かに凌駕しているかに見える。

今朝、新聞( 2005 年 8 月 23 日発行日本経済新聞 13 面)でグーグルとヤフーに関する興味深い記事を発見した。それはグーグルとヤフーに関する、2005 年 1 − 6 月期の売上高と純利益、8 月 19 日付けの時価総額の数字である。従業員数は半分以下でしかないのに、今やグーグルはヤフーをこれら三つの指標で超える存在となっている。

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        グーグル     ヤフー     単位
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売上高     2,641      2,427     百万ドル
純利益      712       381     百万ドル
時価総額     778       479     億ドル
従業員数    3,021      7,600     人
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最近、グーグルも検索エンジン以外に手を広げているようだが、依然として経営資源の7割は検索エンジンの精度向上のための研究開発に投入しているという。元々、ヤフーはインターネットの検索エンジンでスタートし、この分野では圧倒的な No. 1 の地位にあった。しかしいろんなビジネスに手を広げるうちに、いつの間にかその地位をグーグルに譲る結果に陥っている。

ほんの一つの例に過ぎないが、これは 21 世紀の新しいビジネスモデルの典型的な成功パターンを示唆しているように感じる。ヤフーが創業した10年前は、ネットに接続している人は珍しい部類に属していた。けれどもいまではネットを使わない人の方がむしろ例外となりつつある。

この傾向は日本国内に止まらず、中国、インド、ロシア、ブラジルなど世界中のあらゆる国において目撃できる事実である。今日、世界人口は64億とも言われるくらい、世界のマーケットのポテンシャルは計り知れないほどに巨大である。

ネットはその巨大マーケットに光速のスピードで接続することを可能にしてくれる唯一最強の武器とも言える。現代そして未来の利用者にはネット上に用意された高速コミュニケーションと高性能コンピューターのポテンシャルを駆使できる環境がある。自分が求める商品やサービスを瞬間的に手にすることができる世界である。

利用者の立場に立てば自明のことと思う。同じ価格なら世界 No. 1 のクオリティのものを選択するだろう。また、売れれば売れるほど儲かるという収穫逓増のビジネスモデルが成立する領域においては、売れる数が桁違いに多ければその価格は他よりも低く設定しても利益に何ら影響はない。むしろ逆に利益は以前にも増して膨らむだろう。

グーグルとヤフーの記事を読んで、できるだけ少ないスタッフで、自社が世界 No. 1 と誇れる商品またはサービスの一点に絞り、それに全てを賭ける姿勢は 21 世紀のビジネスを駆け抜ける上で外せない条件に思えた。

2005 年 08 月 22 日 : Value

事業によって本質的な価値はさまざまだと思う。それぞれの事業でその価値について考えてみるといろんな発想が浮かんで来るものである。ソフィア・クレイドルの製品を購入してくださっているお客様は、携帯電話向けアプリケーションを開発している企業である。

お客様はソフィア・クレイドルの製品をなぜ購入されたのか、或いは購入しなければならない本当の理由は何か?

というようなことをよく考えてみると、意外と次の展望が開けてくる。当社製品の本質的な価値は『時間短縮』である。例えば、携帯電話向けアプリケーション開発のある工程に何人日かの工数を要していたとする。それが当社製品を使うことで、その工程の必要性そのものが無くなるのである。それ故に、これまで6ヶ月の期間を要していた開発作業が5ヶ月で済んでしまったりするというような価値をお客様に提供しているわけだ。

お客様に当社製品を買うだけの価値があるということを簡単に理解してもらうにはどうすれば良いだろうか?製品を販売する単位は"円"であるのに対して、その製品の価値の単位は"時間"である。これでは単位が異なるので、瞬間的に比較することはできない。小学校で単位を同じにして二つのものを比較したようなアプローチを採る必要がある。

少々複雑なのはお客様によって時間の金額的な価値が異なるということである。時給800円で働く人もいれば、時給5000円で働く人もいる。状況はそれと似ている。

ある携帯電話向けアプリケーションをビジネスで使うことによって、例えば月に100万円の利益が出るとする。もしその携帯電話向けアプリケーションを1ヶ月早く提供できるとすれば100万円多くの利益を得ることができる。そうであれば、それに対して30万円のコストを費やしても充分に元が取れる。

ネットのサービスであればタイミングも重要である。例えばそれが業界初のサービスであれば、一番最初にそのサービスを提供することで得られる顧客獲得の価値というのは、サービスを前倒しにすることから得られる利益の増加分以上に大きいものである。

ヨーロッパやアメリカなど海外に仕事で行く場合、50年以上前ならば移動手段は飛行機ではなく船であったが、今は船ではなく飛行機を利用するのが常識だ。何故ならば、現代は飛行機の方が安く時間の価値がますます高まっているからである。

2005 年 08 月 21 日 : Balance

昔から不思議に思うことがある。それは果てしなく広がり続ける宇宙にあって、この地球に当たり前のよう存在にする生命。何故それは稀なのだろうかということ。地球が生まれた瞬間から存在したのではなく、50億年という永き時を経て今日の地球になったのだけれど。

太陽と地球との位置関係、地球が太陽を公転する時間、地球の自転のスピード、地軸の傾き、空気中の酸素や窒素の構成比等など、さまざまな要素が微妙なバランスを持ち得たからこそ、今日のような私たちの環境があるんだろう。恐らくそれは奇跡的な確率だと思う。その根本的な本質は微妙なバランスにあるのではないか。

駆け出しのベンチャーが、マイクロソフト、オラクル、アップルのような偉大な存在になるのは奇跡的な確率でしかないかもしれない。けれども、それを必然的に目指そうとするならば、今日の地球が存在を為し得た物理学的な法則のようなものが何かヒントとなるような気がしている。

究極、企業経営というのは人、物、金、情報という資源を与えれた物理的な制約の範囲内でどう活用するかということに尽きる。しかし個々の経営資源を分解すれば、実にさまざまな要素から構成され、しかもそれらが複雑に絡み合っている事実に気付かされる。それはあたかも宇宙における地球の関係、或いは地球そのものの存在に似ているかもしれない。

そんなこともあって、いま経営しているベンチャーが長く繁栄し発展するためには、地球を地球たらしめたのと同じように経営に関わるさまざまな要素をバランスよく保つことが重要なんだと思う。そのバランスはどのように見極めれば良いのだろうか。

スペースシャトルから送られてくる、宇宙からの地球の姿は美しい。何故美しく映るのだろうか?空気や生態系の絶妙なバランスが光線に映し出しているように思える。同じく、経営においても最適なバランスが保たれていれば、きっと外側からも美しく見えてくるような気がする。

2005 年 08 月 20 日 : Feeling

サラリーマンをしていた頃は誰もが知っているブランドを売っていた。ベンチャーはその対極にあって、誰も知らないブランドを売るところから創まるビジネスである。だからベンチャーをはじめたばかりの頃は、自社の製品やサービスを販売するのにさまざまな創意工夫を施したものだった。

その過程において思ったのは"フィーリング"という概念である。どんなものにしてもモノならば人間が作るから、それと似たものは他の人間にも作り得るという可能性を認識せねばならない。例えば、自動車にしてもテレビにしてもパソコンにしても、さまざまなメーカーが製造して販売している。

それを買う側の立場にたってみると、製品を販売する時のコツというものがつかめるような気がする。私たちはモノを買うとき、どのような価値判断で選択しているだろうか。購入するまでに少しは考えるような高価な自動車や電気製品、洋服を買う時のことを想像して欲しい。結局、何となく良さそうだから人はそれを選ぶ。

自動車なら、移動するという意味ではどんな車も変わりない。けれども、買う車はどれでも良いと言うわけでなくその車でなければならないのだ。その車に乗ってハンドルを握った瞬間に感じる"フィーリング"がきっと決定的なんだと思う。

消費者は製品に触れたとたん、本能的に作り手の思いとシンクロしそのフィーリングで購入の意思決定をしているのではいないかと思う。購入者と開発者は直接話をするわけではないけれども、製品というものを媒体にしてコミュニケーションしているように。

そんなこともあって、スタッフがどんな思いで製品を開発しているのかということはとても大切と考えている。だから夢や希望や憧れを抱いて創られた製品にはそんな想いがきっと込められるから、それは人々から選ばれるのだろう。

2005 年 08 月 18 日 : Leading company

創業以来ずっと、業界の"リーディングカンパニー"と称されるお客様に選ばれる製品を企画し開発し販売してきた。いま対象としている業界は、コンテンツ、ゲーム、システムインテグレーター、情報通信。今のところ、それぞれの業界のリーディングカンパニーがソフィア・クレイドルの製品を採用して下さっている。どちらかといえば順調である。

なぜ"リーディングカンパニー"なのか?

その企業が"リーディングカンパニー"となり得た理由を考えればそれは明らかである。原因があるから結果があるというロジカルシンキングは極めて重要。その企業がお客様の期待を遥かに超える"超一流"の商品やサービスを創造できたからリーディングカンパニーとなったのだ。

業界のリーディングカンパニーともなれば、資金も潤沢である。それ故にありとあらゆる企業からさまざまな企画提案を受けていることは想像に難くない。同じようなものであるならば、"No. 2"以下よりは"No. 1"を選ぶというのが業界トップの当然の結論だろう。時代の変化が激しい世の中である。"リーディングカンパニー"といえどもいつ何時何が起こるか知る術を持たない。

だから業界トップであるばあるほど、自社のサービスに必要なものであれば最も優れたものを選択する傾向にある。即ち、リーディングカンパニーと呼ばれる企業に製品が選択されるということはその製品がそれなりに高く評価されたということなのだ。

最近顕著に思うことがある。それは業界において生き残れる企業というものは極めて限定されるということである。パソコンのオペレーティングシステムであれば Windows と MacOS と Linux くらいしかなく Windows が大半のシェアを占めている。しかしニッチで構わないから、業界でトップであるためにはどうすべきか。創業期の初めの頃から、"リーディングカンパニー"へのマーケティングにこだわって戦略的に発想し行動するように心がけた。

2005 年 08 月 17 日 : Heart & Mind

和英辞典で調べてみると、"人々の心をつかむ"を英語で表現すれば"win the hearts and minds of people"ということらしい。"heart"も"mind"も心であることに違いは無いけれど、"heart"は喜怒哀楽など感情の宿る心、"mind"は知性・理性の宿る心という風に使い分けがあるようだ。個人的に興味深いと思ったのは、"win the minds and hearts of people"ではなくて、"win the hearts and minds of people"であるという点である。先ずは感情の心"heart"が先に来て、それから知性や理性の心"mind"と続く。

今、ホームページのリニューアルプロジェクトを精力的に進めている。これまでのソフィア・クレイドルのホームページは、ただ製品や技術、会社に関する情報を提供するので精一杯だった。それでもそれぞれのデザイナーが表現していたイメージはずっと"水"と"空"だった。その解釈は自由と思う。

お蔭さまで開発した製品は売れ、余裕もある。次の展開に備えて、その余力をどう活かすか。ベンチャーの成長はその意思決定に左右されると思っている。光速のスピードで世界に張り巡らされたネットの存在は、自分達にとって遠近関わらず雑多な情報で溢れんばかりで無視できない故に、ネットへの正当な対策を早めにやっておいた方が良いと考えている。

"お客様の心をつかむものにしたい"

"win the hearts and minds of our customers"

ホームページリニューアルプロジェクトに描く私の思いだ。英文表記にもあるように感性の世界である"heart"が最初。それから論理の世界である"mind"。この順番は絶対に誤ってはならないと思う。

ホームページで"感性"って何なんだという疑問に突き当たってしまうのだが、個人的な感覚からすればそれは"色"ではないかと思う。少々高価な洋服を選ぶ時は、その服が光線の具合によってどんな色に見えるかというところが最重要ポイントではないだろうか。初めて会う人には形よりもその色の雰囲気で第一印象をずっと持たれてしまうことも多い。だから色については敏感になる。ホームページもそれと同じでどんな色の組み合わせで演出するかというのはきっと大切なことだ。

売れる色・売れるデザイン』(高坂美紀著)によれば、「明るく澄んだ色」と「暗く濃い色」を組み合わせるとたいていの人を癒せるとのこと。"DEEP BLUE"という美しい映像で評判の映画がある。今年最も売れているDVDの一つらしい。この映画では果てしなく続く海を背景にそんな色が随所に見受けられる。色以外の要素もあるかもしれないけれど、どんな生き物でも癒される色には魅力を感じるように思う。

それではどうやってそんな色を創り出すか――が最大のポイントになってくると思うのだが、空(その先にある宙)や海、山、川、森、私たちの周りを取り囲んでいる自然は人間を癒してくれる色で満ち溢れているように感じる。そこにヒントが隠されているような気がする。

2005 年 08 月 16 日 : Eternal

文化の香り高きものはその息が長い。それは音楽、絵画、文学など何百年、何千年にも渡っていまだに生き続ける作品で確かめることができる。でも「文化」と気軽に言うものの、これについて正確に定義することができるだろうか。

三省堂の新明解・国語辞典には次のようにあった。

『その人間集団の構成員に共通の価値観を反映した、物心両面にわたる活動の様式(の総体)。また、それによって創りだされたもの。〔ただし、生物的本能に基づくものは除外する。狭義では、生産活動とは必ずしも直結しない形で、真善美を追求したり、獲得した知恵・知識を伝達したり、人の心に感動を与えたりする高度な精神活動。すなわち、学問・芸術・宗教・教育・出版などの領域について言う。…… 〕』

この「文化」の定義を読んで個人的に思うのが、"真善美"とか"感動"、"人間に共通する価値観"といったような"質的な"キーワードである。「文化」というものが量的な尺度で測るものではなく、質的に評価されるものであるが故に「文化的なもの」ほどその寿命は長く永遠を保つのだろう。

ベンチャーの唯一にして最大の弱点は、その基盤の不安定さにあると思う。だからベンチャー起業家は、先ずは生まれながらにして持つ不安定感をどうやって拭い去るかに最も力を入れねばならないと思う。そういう意味において、ベンチャーにおいて創るべき商品やサービスに何らかの文化性があるかがポイントであるような気がする。

ソフトウェアの場合、ソースコードのエレガントさや操作の心地良さなどの感動がアートといわれる域までに達しているかどうか、作者自らが自問自答する姿勢が必要だろう。もうこれ以上のものを創り出すのは不可能に思える段階になって、やっとそれは文化となり永遠の生命も持つ作品として後世に残るのかもしれない。

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